Cristallina Architecte | クリスタリーナアーキテクツ

Architecture with European inspiration & Japanese sensibility

- Design Journal

グリーンスケープ

02/06/2014

6月にはいったばかりというのに、ここの所、真夏のような日が続いてますね。
これも地球温暖化による異常気象の1つでしょうか。 ここ数年続く異常気象は、自然が人間に「そろそろなんとかしないと、もう危険だよ!」と警鐘を鳴らしているように思えます。
今回は街並みを美しくする都市計画の一環として不可欠なグリーンスケープについてお話ししたいと思います。
versailles
ちょっと突然ですが、ヴェルサイユの庭園が登場!
何千ものアングルからの写真が可能な庭園ですが、これは、引き出しにしまってあったフランスで買った絵ハガキの中に丁度一枚残っていたものです。
ヴェルサイユは3年ほど住んだことがあります。 東京でいうと、東京駅から吉祥寺駅位の距離に位置します。 パリとその近郊を含めた地域をイルドフランスと呼びますが、その中に国立の建築大学が確か7~8校位あり、ヴェルサイユにも1校あります。 必要な単位を全部パスすると、前期と後期で学校間のトランス
ファーが可能だったので、前期課程をヴェルサイユ校にて終了し、後期課程をパリ、サンジェルマンデプレの旧ボザールにある学校にて終了しました。 学校ごとに特色があり、ヴェルサイユ校は都市計画史の授業が充実していて、ランドスケープと一体になった建築に力を入れてました。 校舎はヴェルサイユ宮の厩舎でした。 厩舎と言っても、王宮の厩舎ですので、とても大きくて立派な作りで、大変古い歴史を感じる建物でした。 そして、ヴェルサイユの庭園は通りを隔てて隣にあり、よく散歩に行きました。 広大な庭園の中を風を切って自転車でこいで廻るのは、すこぶる爽快でした。 夏の花火や秋の紅葉はとても美しかったです。 ヴェルサイユには建築校の他に、国立のランドスケープの学校もあります。 広~い王様の野菜庭園(ジャルダン・ポタジェ)の中にありました。
ヴェルサイユ庭園の壮大なスケールの見通しは、緑で造形されたスペクタクルでも見ているようです。
一方、パリという山手線の中にはいってしまう大きさの都市にも沢山の見通しが構成されています。 建築物のない空いた公共空間、つまり、通り、公園、広場、フォーラム、エスプラナード、プロムナードなどに空間がゆったりと確保され、デザインされたグリーンが入り込んでいます。
公共の公園や庭園によくメンテの手が入っていて、そういう所にちゃんとお金をかけているようです。 公共だからと言って、ただつつじが無造作に植えてあるというレベルではなく、色彩や植栽の組み合わせや外構デザインがとても美しいのです。
パリだけでなくフランスやヨーロッパの国々の町について共通して言えるのは、通りの建物のファサードの並びのバランスがとれていて、プラス、美しく植栽計画されたプロムナード(特に湖畔や海岸に沿って)が共に存在することです。
東京都心を歩いていると、カーテンウォールの高いビルばかり目に飛び込んできます。
古来からの日本の内と外がボーダーレスな自然と共生する設えが切り離されているように感じます。 そろそろ経済的利益第一で、便利なもの、ぜいたく品、新しいものの追求や生産販売、高層ビルの建築など、二酸化炭素を沢山出して地球温暖化の助長をする活動にばかり目を向けるのはこの辺にしませんか、と言いたくなります。
光合成をして酸素を沢山作りだしてくれるものを増やすグリーンスケープ造りにもっと力を入れたら、東京も憩いのある都市空間となっていくのではないでしょうか。
パソナビルのように色とりどりのつるバラが飛び出して目を楽しませてくれる壁面緑化されたビルが幾つも向かい合うようになったら潤いのある都心となるでしょう。
夏はヒートアイランド化、ゲリラ豪雨、冬はビル風を起こす環境にブレーキをかける必要があります。
「東京砂漠」がいつしか「憩える都会風景」となり、厳しい蒸し暑さも和らぎ、緑がそこで働く人々の目を癒す街になるといいなと思います。

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