Cristallina Architecte | クリスタリーナアーキテクツ

Architecture with European inspiration & Japanese sensibility

- Design Journal

伝統と革新

05/05/2014

ゴールデンウィークは普段やろうと思っていてできなかったことをするのもいいですね。
必ずしもお出かけしなくても、例えば家の中の整理整頓をして捨てるものは捨ててリセットする、も良し。おそうじって終わるとちょっとした達成感、すっきり感が楽しめ、新たに何かスタートする意欲がわいてきます。
整理整頓と言うわけではないですが、街並みも混沌としすぎているより、ある程度秩序だっている方が美しく感じます。
今回は、パリの一角の街並みを空から眺めてみましょう。
beaubourg
この辺は私が住んでいたシテ島からすぐのパリ市役所やポンピドゥーセンターの界隈です。
パリの通りは主軸があり、幹、枝、小枝という感じにスケールが細かくなって構成され秩序だっています。
それらの通りに沿って、どの建物もだいたい同じ高さできれいなリズムを持って並んでいます。
時おり突出するのは教会の尖塔とか、モニュメントなどで、街の景観として、偶然というよりも、計画だてられています。
なだらかにつながる街の屋根のシルエットの上に大きく広がった空の大気を通して、教会の鐘の音が辺り一帯に柔らかく響き渡ります。 中世からの古の音に耳を傾けると心が休まります。(昔は東京の住んでいる近くのお寺の鐘の音もそうだったんですけど・・・)
建築に関しては全く0からフランスでスタートしたので日本の建築教育については存じないのですが、フランスでは、生徒はプロジェクトを計画する時、周囲の環境とどのように融合、調和させ、脈絡をもたせるかを徹底してたたき込まれます。 なので基本計画には自分のプロジェクトの平面、立面、断面に、必ず廻りの建物も入っています。 それが実際、街並みに実行されていて、すっかりクラシックな例にはなってしまいましたが、ポンピドゥーセンターとその広場周辺もその良い一例です。

革新的なデザインをまわりにどう溶け込ませるか? 常に伝統に囲まれ、向き合い、修復して継承しながら革新を創りだして行く、伝統と革新が二人三脚する姿勢が培われてきました。
歴史を古く遡って、都市計画において街全体の美観を形成して行く様々な手法が蓄積されてきています。
ヨーロッパ全般に言えることですが、都市計画に携わる行政のお役人はもちろん、一般市民も先祖代々
美しい街並みの中で暮らしてきて、DNAの中に街並美観のセンスが組み込まれているという感じがします。
そして都市空間においてヒューマンスケールをキープし続けています。
日本は解体も含め建設技術は世界トップレベルにあり、とても誇らしいことです。 ただ、都市計画において、街並みの美観形成に関しては、東京を見ていると、まだまだ、課題はとても多いです。
オリンピックに向かって少しづつ良くなっていけばと期待しています。

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