Cristallina Architecte | クリスタリーナアーキテクツ

Architecture with European inspiration & Japanese sensibility

- Design Journal

おもてなしの街並みデザイン

04/01/2014

2014年がスタートました。
皆さんは新年の抱負はもう立てられたでしょうか?
新年をスタートするトピックとして、タウンスケープ、街並についてのお話しをします。
sacre coeur paris
パリはサクレクール寺院の界隈です。 右はモーリス・ユトリロの描いた絵です。 この辺はパリでも高級街とは正反対のところとは言えますが、何気ないパリの通りの雪景色が描かれていて情緒があります。
パリの建築大学で教育課程の一環で都市計画・景観を学び、実際にあちこちの街を見て歩き廻り体感したことは、ヨーロッパの街は美観に相当なウエートが置かれ1000年以上かけて継承されながら美しい街並みが形成されてきたということでした。 パリを例に取っていくつか挙げてみます。
通りに並ぶ建物は1つ1つ別のデザインですが一体となって通りのファサードを形成し、全体として調和するように統制されています。
同様に建物のスカイラインが統制されているので高い所から、距離をひいた所から全体を見て美しいのです。
水平に流れていく街の屋根のラインに教会や寺院、塔等のモニュメントのラインがリズミカルに現れ美しいシルエットを描いています。
そして、通りに立って見上げた時、両脇の建物群が並木と共に美しいパースぺクティブを描く構図となるようになっています。 パースペクティブが消失点に収束して行くあたり、つまり通りの中央奥にはモニュメント的な建物、または美しいファサードが他のものに妨害されることなく姿を現します。
こうしたことは美観形成のための手法の一部ですが、建物群が立体造形物としていろいろな角度から見られて美しいように検討、計画されているのです。
ユトリロの絵にはそう言った、通りから見たバランスのとれた構図が映し出されています。
そこには空のシルエットを乱す電柱、電線は存在しません。 そして富士の見える坂だったのにビルが建って見えなくなった、というようなこともないのです。
ヨーロッパの街並みは訪れる者を魅了します。
絵になる街のファサードが住人や観光客を心地よく迎え入れてくれます。 それが観光大国たる所以の
ひとつでしょう。
通りに犬のフンが落ちていたりすることなく、きれい=清潔という点では日本は誇れますが、戦後からの都市景観づくりについてはまだまだ課題が山積されています。
英語ならhospitality、ドイツ語であればgemütlichkeitのある、温かに魅力的に人々をおもてなしする街並み景観づくりに向かっていってほしいと思います。

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