- Design Journal
曲線と直線の室内
03/08/2013
夏も真っ盛りとなりました。
リゾート気分でのんびりゆったり過ごしたい時期ですね。
今回はヨーロピアンインテリアの曲線についてお話しします。
写真はイタリアのアマルフィというヨーロッパではとってもオシャレなリゾート地にあるホテルのエントランスでとったスナップショットです。
ヨーロッパの建築はもともと石積みの構造なので窓や入口の開口上部はアーチ型、そしてヴォールトと呼びますが、天井もアーチを形成している建物が多く見られます。
このアーチに沿って間接照明が施され、柔らかい曲線の陰影ができて、夜はとってもムードのある雰囲気
となります。
客室の天井もヴォールトになっていました。 優しくカーブを描く天井はダウンライトが埋め込まれてなく、ベッドから眺めていると、曲面が月の光に照らされて、なんだか安らかな気分になります。
フランスに滞在していた時は、日本とヨーロッパの伝統的建築空間の違いを非常に強く感じたものです。
日本は室内が畳や障子など四角い形や直線で構成されています。 そこには独自の美しさが存在します。
縁側の大きなピクチャーウィンドーから風景をとりこみ、薄暗がりから四季ごとに変化する景色を愛で、自然と一体となる空間です。
一方、ヨーロッパのインテリアには曲線が多く見られます。 天然石で構成される大きなサーキュラー階段、それに沿ったロートアイアン製の手摺りの美しい曲線。 壁面の所々に曲線の石彫レリーフがはいり、家具も曲線を描く木彫の味わい豊かなものが置いてあります。
曲線には音楽的な流れ、自由、解放感、ヴォリューム感、色気といったものがありますね。
日本の丹精な直線の室内空間、西洋の地中海文明的な曲線美の空間、どちらもそれぞれの魅力があります。
もし、全くお金に糸目をつけずに好きな家を建てていいことになったら、と想像してみます。
そうですねぇ、竜宮城に住んでみたいかな・・・! 私にとっての竜宮城とは、ピエール・ルイジ・ネルヴィとアントニ・ガウディをたして2で割ったようなデザインの家です・・・?
外側はホネ貝かシャコ貝を彷彿するシェル構造、中は平衡感覚を失わないよう床だけは水平で必要最低限に垂直な壁も残して、後は自由な曲線、曲面で構成されている空間。
朝は流れる曲面の天井から差し込む光で目覚め、そして、なだらかな螺旋を描く幅広なホネ貝のような
廻り階段を下りてゆくと、海を見渡すリビングダイニングキッチンで朝食・・・。 昼間は海藻がゆらゆら揺らぎ、夜になると、天井のほうで無数の美しく神秘的な光を放出するクラゲ達が浮遊する・・・。
そんなことを幻想を夢想していたら、この蒸し熱さの中で省エネモードでじっとしながらも、なんだかリゾート気分に浸っているのでありました・・・!