Cristallina Architecte | クリスタリーナアーキテクツ

Architecture with European inspiration & Japanese sensibility

- Design Journal

Souvenir de la Provence

11/12/2012

provence
すっかり寒くなってきた今日この頃。
スーヴニール・ドゥ・ラ・プロヴァンス。 プロヴァンスの思い出。
スーヴニールはフランス語で「おみやげ」の他、「思い出」という意味で使われます。
明るく暖かい気分になる色合いの南仏の建物を思い出しながら作った外観です。
(プランも別にあります。)
今日は建物の色についてお話したいと思います。
フランスはパリに長いこと住んでおりました。
パリからTGVに乗って南仏に降りて行くと、突然、それまで、淡い水色に雲がかかっていた空は
一気に真っ青になり、建物の色もとたんに明るくなることに気がつきます。
桃色、だいだい色、レモン色、クリーム色、サンゴ色、・・・。
日本の色彩感覚や色調とは異なります。
日本では渋い色、濁色、つまり彩度の低い色が基調の建物が多いです。
色には色み、明度、彩度、という性質があります。
南フランスをはじめ、南欧の建物は、明度が高く、彩度が高い澄んだ色使いをしています。
混じりけの少ない色は彩度が高いのです。
いろいろな色を混ぜるとグレーや黒に近づいてゆきます。
中学から高校にかけて芸大卒の先生の油絵・デッサン教室に通っていた時期があったのですが、
そこで、パレットの上であまり色を混ぜないように、と教わったことを、ふと思い出しました。
南仏を愛した印象派の画家達がパレットの上で色を混ぜないようにおいて、キャンバスの上で色を
隣り合わせていったという手法も、南フランスの陽光の中にいると思い起こされます。
建物の色は気候、風土に影響されるものです。 
街全体が同じような色合い、トーンでまとまっていると一層美しく見えます。
一年のうち、どんよりとした天気が長く続くパリは渋い色合いが映え、太陽がサンサンとふり注ぐ
南仏には明るい色が映えます。
疲れて帰ってきた時、温かみのある風合いの家に迎えられるというのはよいものです。
住宅において、柔らかな暖色系というのは、やはり、長く愛される定番色と言えるでしょう。

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