Cristallina Architecte | クリスタリーナアーキテクツ

Architecture with European inspiration & Japanese sensibility

- Design Journal

古くて味わいのある建物の恩恵

05/10/2014

地球温暖化により、これからは常に思いがけない自然災害が以前より頻繁に起こりうることに注意して
生活する必要がある、と、身にしみて感じている今日この頃です。
さて、10月くらいの秋の涼しい時期になると、不思議に海の景色が見たくなります。
フランスはイタリア国境に近いコートダジュール地方にあるエーズ村に空想の翼を広げて飛んで行ってみましょう。
eze cotedazur
ここは絶壁断崖にある鷹巣村です。 中世の面影がそのままで、ランダムな石積み、色むらのある橙の素焼き瓦屋根、朽ちかけた漆喰につるバラが這い、とてもロマンティックな風景を醸し出しています。
断崖にあるカフェからは真っ青な空と海、そしてサン・ジャン・カップ・フェラの半島がよく見えます。
息をのむ美しさにハートをつかまれます。
かつてル・コルビュジエもここからもう少し先の海岸にカバノンを持ち、海水浴をよくしていました。
コルビュの作った墓地やアイリーン・グレイのE1027の別荘も遠くないところにあります。
彼らもエーズを訪れてカフェで真っ青な海を見降ろしながら建築談義でもしていたのかな、などと思いを馳せます。
耐久性のある造りで美観もともなっている建物は、世代交代し、長く後世に渡って、その恩恵を享受できる、ということをヨーロッパの建物は強く感じさせてくれます。
素朴で古びた建物にロマンティック、ポエティック(詩情性)なものが宿っていて、心が豊かになります。
日本の住宅事情において、建物は、コピー機と同じように減価償却するものとして扱われ、古さに比例して資産価値が下がっていきますが、それはちょっぴり残念なことでもあります。
最初に耐久力のあり上質な材料を使って建て、メンテを続けながら、長いこと世代が変わっても古くなってゆく味わいを楽しめる建物づくりが大切だと思います。
そして、時間軸を超えて人々に親しまれ愛され続けるデザインであってほしいですね。

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