Cristallina Architecte | クリスタリーナアーキテクツ

Architecture with European inspiration & Japanese sensibility

- Design Journal

イタリアの街並みと東京オリンピック

11/11/2013

いつの間にか秋がだいぶ深まってきましたね。昔より、夏の暑さが9月、10月まで及んできた分、秋らしい季節の期間がとても短くなってきたような気がします。
今回は「タウンスケープ」、街並みについて語りたいと思います。
siena
こちらはイタリア、トスカナ州にある中世の町シエナです。
ヨーロッパにはこのようにパノラマで見ると非常に美しい景観を成している街が星の数のようにあります。
屋根の材料はその地方で採れる石材や、焼き上げられる瓦が使われ、統一感があります。 壁も同様で、その地方によって、色みの違うライムストーンであったり、その土地でとれる暖かい色みの顔料の漆喰であったり、レンガであったり・・・。 美しいアースカラーの赤茶に魅了されます。
このような景観が可能となっているのは、基本的に、街の中心部は皆、階数がほぼ同じ、大きな町でもせいぜい7、8階程度で、隣とくっついていて、全体に流れるようなスカイラインでつながっている建物群で形成されているからです。 各建物の中に住居もあれば、オフィスもあり、1階にお店ありで、うまく共存しています。
古の外観は改修、メンテしながらキープしつつ、中はとてもモダンなインテリアであったりします。
そして、その建物群の一角の中に「広場」という、上から見るとぽっかりあいた空間が所々あります。
私がヨーロッパの街の何に圧倒的にノスタルジーを感じるかというと、この広場の存在です。
広場を取り囲むアーケードの中にあるパン屋さん、お肉屋さん、チーズ屋さん、で買い物をしたり、素敵なブティックをのぞいたり、そして、何といっても、角あたりにあるカフェのオープンテラスで広場の日常の風景を楽しみながらコーヒーを飲んだり、焼きたてのクレープをほおばったり・・・(カフェの屋台で焼いている)。 広場の中央は朝市となり、たくさんの果物や野菜、お花で色とりどり。
知り合いに思いがけず会えるのも広場です。
パリ、サンジェルマンにある旧エコル・デ・ボザールで建築を学んでいた時、勿論建築で学ぶことはたくさんでしたが、都市計画、都市景観について学ぶことも非常に大きかったでした。
パリは世界の中でも完成度の高い都市ですが、その長い歴史を通して、様々な都市計画、都市景観造りの手法が用いられ今日の姿となっています。
何年ぶりに来ても変わっていない風景が人にその街を一層懐かしく感じさせます。
それに比べると、私の生まれ育った東京は、何とめまぐるしく変わってきたことか・・・
全体に建物のサイクルが短いのです。 建てては壊す、を繰り返すのではなく、100年は使うくらいのつもりで計画して、古くなっていくほど愛着の増す建物であってほしいと思います。
率直に言って、東京に住んでいて美観や、景観、都市計画について疑問を感じることがとても多いです。
街並み景観を台無しにしている電柱と電線は永久にこのままなのだろうか?
なぜ、ガラスに網の入った窓から外の景色を見ることを強要されなければいけないのだろうか?
昔はもっと広かった土地も相続税が高くて、細切れに売られ続け、かつ高額で、住環境がきびしすぎないか?
ラッシュアワーの殺人的な満員電車は永久に続くのだろうか?
等々・・・。
つい、私の生まれ育った故郷、東京についていろいろな不満を申してしまいました。
でも、こう行ったことが東京オリンピック開催に向けて改善されていってほしいです。

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